1対1の対話で、少しでも現場の目線を知っておきたい。関係性重視のマネジメントを支える1on1ミーティング

1対1の対話で、少しでも現場の目線を知っておきたい。関係性重視のマネジメントを支える1on1ミーティング

2019年度から段階的に1on1を全社本格導入したTIS株式会社様。実際に事業部のマネージャーとして1on1を行っている淵上様に、1on1で工夫していることや、マネジメントで大切にしていることを伺いました。

データだけではわからない社員の長所を発見できた

━━まず、TIS様で本格的に1on1導入された背景には、どのような目的があったのでしょうか?

1on1の全社導入を主導しているのは人事本部なのですが、やはり大企業のお客様を相手にすることが多い中で、TIS社員全体で共通した方向性・ビジョンを持っておきたいという意図が大きいのではないかなと考えています。そしてその会社の方向性に対して、社員一人一人がどんな考えをもっているのかをマネジメント層が理解しておく。1on1は、まずその下地づくりの一環として捉えています。上司と部下の間柄でも個人的な思いやプライベートなことも含めて気軽に話せる関係性ができたらいいなと。

また、特に私たちの事業部は東京と名古屋の部隊に分かれているので、地理的に離れていてもお互いのことを知ることができる機会としても活用しています。

━━現在、淵上様ご自身はどれくらいの頻度で部下の皆さんと1on1を実施していますか?

私は現場でマネジメントを担っている役職者層の社員と1on1を行っています。役職者の中でもマネジメント職(M職)、ハイエンドプロフェッショナル職(H職)、プロフェッショナル職主査という層があり、それぞれ実施頻度は異なります。十数名いるM職とは3週間に1回程度、約60名いる主査とは3ヶ月に1回程度のペースで実施しています。一人あたり15〜20分ほどの時間なので、まだまだ深堀りしきれないケースもあると感じています。

━━1on1を実施してみて感じたメリットはありますか?

1つ目は管理職の立場として、社員一人一人の能力や特徴をより深く把握できるようになったことです。社内のタレントマネジメントシステムで確認できる社員のスキルや資格データに加え、個人の長所や考えを知ることができたのは大きいです。今後新たなプロジェクトを推進するにあたっても、非常に参考になる情報が得られていると思います。

2つ目は、一緒に悩みを解消できる関係性が築けてきたこと。たとえば、私は女性で子どももいるので、育児と仕事の両立などで悩みをもつ社員から「子育てはどうしていますか?」と1on1の中で相談を受けたこともあります。プライベートな話も含めて、ちょっとした悩みを共有できる状態をつくれたのは嬉しいです。少しでも社員の気が楽になるきっかけをつくれたなら、やってよかったなと感じます。小さな悩みを一つずつ解消していくことで、結果的に仕事に対しても前向きになれると思うので。

━━1on1を行うとき、意識していることはありますか?

よく言われることですが、聞く姿勢は意識しています。話しているうちに、やっぱり上司としてすぐにアドバイスしたくなってしまう場面はあるのですが、まずは相手が何を考えているのかをじっくり傾聴するように心がけています。

━━最初は1on1の場でなかなか本音を話せない方もいらっしゃったのではないでしょうか。そんなとき、どのようにコミュニケーションをとっていましたか?

私自身は4、5年前から1on1を実施してきたのですが、その時に「1on1共有シート」というものを活用してきました。5〜6個の項目を用意してあって、その中から話したいことを事前にピックアップしてもらっています。「仕事の話題じゃなくても歓迎ですよ」という意味も含めて、安心して本音を話せる場にしたい思いがあります

キャリアの相談に対して、具体的な助言はしない

━━他にも心がけていることはありますか?

1on1の中でキャリアの話題が出ることも多いのですが、個人のキャリアステップについて、私から具体的なアドバイスをすることはないです。私からは会社の方向性を共有して、その中でどのように進んでいきたいかはあくまで自分自身で考えてもらうのがよいと思っているからです。もちろん、会社の方向性を理解した上で、個人の価値観と「合わない」と感じることもあるかもしれませんし、結果として転職という選択肢を選ぶことになるかもしれません。マネジメントとしては、TISの中で実現できることがあるならば、その能力を最大限発揮できる場を用意してあげたいですし、たとえ一度転職しても、また戻ってこられる環境を作り、外での実績を活かせる場を作るなど、そこは柔軟に考えていければいいと思っています。

━━1on1を実施していく中で、これまで苦労してきたことはありますか?

スケジュール確保にはなかなか苦労してきましたね。現在私はアシスタントさんに手伝ってもらいながら調整していますが、日程調整に負担を感じている役職者もいるのではないかと思います。また、1on1の効果を明確に定義することは難しいなと感じます。本当に現場の社員がメリットを感じているのか、長期的にどのように事業の成果へつながっていくのかという点については、まだ手探りの状況です。

━━(人事部の藤原様から)1on1の効果測定が難しいとはいえ、4、5年間パワーをかけて1on1を継続されてきたということは、意義を感じられている部分もあるのでしょうか?また、淵上さん直下の層だけでなく、その1つ下の役職層とまで1on1を実施しているのはなぜでしょうか?

そうですね。私自身がマネジメントをどう進めていくべきか迷ったときがあって、結局、直接メンバーの意見を聞くことが一番だと思っています。たとえ10分間であっても、1対1で話す場があると、その人なりの意見が出てきますし、皆でいるときと1対1で向き合ったときでは、話の深さが違います。私は「一人一人が納得していないと上手く船は漕げない」というマネジメントスタイルなので、1on1という手段がとてもフィットしていると思います。

私が1on1をしている役職者層は、事業を最前線で動かしている人たちであり、今後組織のマネジメントを担う人たちです。そして、当然のことですが、彼ら彼女らと仕事をしている社員の最終評価を行う立場としても、現場の一人一人のことを普段から知っておくべきだと考えています

━━今後、どのように1on1を活用していきたいですか?

1on1で安心して対話できる関係性づくりの フェーズが全体的に落ち着いてきたように感じているので、次はそれぞれが「今後どうなりたいのか」というテーマに焦点を当てて話していきたいと思っています。

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