メンター担当者からは「1on1に同席してほしい」という声も
━━TeamUpを導入していただいて数ヶ月経ちましたが、まずは、1on1ミーティングを展開された背景を聞かせていただけますか?
吉岡:キャナルの営業は5名ほどの体制でスタートしたのですが、今は23名、24名と増えてきたんです。人数が増えてくるにつれて、私一人で全員をマネジメントすることが難しくなってきたのがきっかけですね。個別に話せる機会はなるべく設けていたのですが、次第に自分から相談してきてくれる人ばかりと話している状態になっていました。しかし、特に不満なくスムーズに働いてくれているように見えたメンバーが退職してしまうケースが何度かあり、意外と思っていることを言えていないメンバーがいるということにも気づいたんです。そこで、普段から一人一人が抱いている成長実感や課題感についての話をよりタイムリーに拾い上げる場として、1on1ミーティングを展開していくことを決めました。
━━現在の1on1ミーティングの実施頻度はどの程度ですか?
吉岡:月に1回です。もともと3ヶ月に1回の面談を実施していましたが、そのペースでは遅いという課題感がありました。現場のメンバーが日々感じていることを適切に拾い上げていくため、頻度を増やしました。
━━1on1を運用するにあたって、吉岡様と植川様は現在どのような役割を担っているのですか?
植川:私はメンターとして配下のメンバーと直接1on1ミーティングを行なっています。私の他にも同じ立場の者が3名います。
吉岡:私は全体を見られる立場にいます。なので、メンターを担当してもらう社員を決めたり、1on1の組み合わせが決まってからもメンターとこまめに話したりしています。メンターの得手不得手や状況に応じて、担当交代を一緒に検討することもありますね。
━━現場とミドル層に対するフォローが自然と行われているのですね。
植川:以前から、私と吉岡はランチタイムの際に「この人はもう少しフォローが必要」などといった会話はよくしていましたね。
吉岡:1on1のメンターを担当すると決まったら率先して動いてくれるリーダーが多い一方、中にはやはり最初は不安に感じる人もいたようです。自分がメンバーを間違った方向へ誘導してしまわないか不安だからと、「1on1に同席してほしい」と言われたこともあります。
━━現場で行われる1対1のやりとりは通常、ブラックボックス化されていくパターンが多いのですが、リーダー自ら「同席してほしい」と言える環境なのがすごいですね。同席される際、吉岡様はどのような役回りになるのですか?
吉岡:まずは口出しをせず、聞くことに徹します。メンターとメンバーのやりとりが終わった後に、「こんな聞き方をしたらより答えやすいよ」「主語を自分にしたらどんな言い方ができる?」などと、フィードバックやフォローの質問をしています。弊社では基本的に、お互いの1on1ログは隠さず共有する、というスタンスで扱っているんです。なので、ログの書き方に迷うメンバーがいたら、他のメンバーのログを見せて参考にしてもらうこともあります。もちろん、センシティブな内容は見せないよう配慮していますよ。
TeamUpの管理画面のおかげで全体の課題が見えてきた
━━1on1ツールの中でTeamUpを選んでいただいた理由について教えていただけますか?
吉岡:第一に、管理画面がわかりやすくて、メンバーが直感的に操作できそうだと思ったからです。あとは事前のトピック提出機能でメンターからメンバーに聞きたいことをテンプレートで指定することができますし、メンバーも1on1を実施する前に話したいことを整理できるのが良いですよね。1on1後にコメントができる点も良かったです。1on1の時間だけでなく一人一人に事前準備や振り返りをしてほしいという想いがあったので、機能的にもマッチしていました。
植川:1ヶ月経つと、案外メンターもメンバーも前に話した内容を忘れてしまうんですよね。1on1の場で一緒に1ヶ月前のログを見ることで、変化を確認しやすくなったと思います。
━━実際に使ってみて、マネジャーやリーダーの視点では、どのような変化がありましたか?
吉岡:TeamUpを導入するまではメールベースで私個人宛に相談がくることが多かったのですが、業務のメールの中に埋もれてしまって見返しづらいなと感じていました。様々なメンバーの1on1ログを管理画面で見返せるようになったのはありがたいですね。全体を俯瞰して見ることができるので、人によってはもっと話す頻度を増やすべきではないかという気づきもありました。文章で書いてもらうと、意外と長くなる人が多いんですよね。皆これだけ言いたいことを溜めているんだなということも、目に見えてわかるようになりました。
植川:エクセル等でもできないことはないと思うのですが、ある一定のルールやツールがあることで、フィードバック文化を浸透しやすくなるんだなということも実感しましたね。
1on1のメンター経験を通じて、育成に対する意識が上がった
━━1on1ミーティングを運用していく上で、気をつけているポイントはありますか?
吉岡:「できる限り、自分に向けた書き方をしてほしい」ということは伝えていますね。モヤモヤしていることがあると、つい「他の人がこうしてくれないから」と書きたくなってしまうときもあると思うのですが、一旦立ち止まって考えてほしいんです。自分がどう行動するか、ということを前向きに話す場にしてほしいので。
植川:メンターとしてメンバーに接するときは、怒らないようにしています。本音を話せる気楽な場だと認識してほしいので、注意はしてもあくまでフランクに話すということは心がけています。最初のうちはメンバーの緊張感を取り除くまでに時間がかかりましたね。導入したばかりの時期は、週に2回ほど実施しながら徐々に定着させていきました。
吉岡:「評価面談ではないから安心して話してほしい」ということは伝えていきましたね。
━━1on1が定着してきたことで、周囲のメンバーに変化はありましたか?
植川:メンバーの姿勢に変化があったのはもちろんですが、メンターになった社員が非常に頼もしくなってきましたね。
吉岡:あえて弊社での経験年数が長くない人をメンターに抜擢することもあるのですが、その人たちの育成に対する意識がぐっと上がっているなというのは感じますね。もともと横のつながりに興味がなさそうだった人が積極的にリーダー同士の交流の機会をつくってくれたり、システムが得意なメンバーが新人育成についても悩めるようになったりと、良い動きが生まれてきていると思います。
━━1on1でメンターを担当することが、ミドルポジションの皆様の成長につながっているのですね。フィードバック文化などが徐々に定着してきたとのことでしたが、今後はどのような文化を築いていきたいですか?
吉岡:今よりも人数が増えていったら、明確な評価制度をつくっていかなければいけないとは思っています。ですがそれ以上に、皆が納得感を持った状態で働くためにも、それぞれが育成について考えているという文化は大切にしていきたいですね。実際に、後輩の育成を担当したいと申し出てくれるメンバーは多いなと感じています。
植川:営業職だと普段の業務では数字を扱うことが多いのですが、数字以外の部分も成長しないと組織は成長していかないと思っています。メンバーの定性的な部分は、1on1ミーティングでこまめに拾い上げて可視化していきたいですね。