フルリモート体制下でも、1on1ミーティングがあらゆる人材戦略の起点に

フルリモート体制下でも、1on1ミーティングがあらゆる人材戦略の起点に

課題

  • 現場の実態が把握できず、離職率の高さの要因を特定することができなかった

TeamUpへの期待値

  • 1on1の実施状況やコミュニケーションの実態をリアルタイムに把握し、施策が打てるようにしたい

効果

  • 人事やマネージャーが、メンバーの悩みを拾い上げる仕組みができ、離職率が大幅に低下した
  • フルリモート化においても、対話の仕組みができ、マネージャー・メンバー間での信頼関係構築に繋がった

「相談しても解決されない」。不信感が課題に

━━今、会社の規模としてはどのくらいで、金子さんは人事としてどのような立ち位置にいらっしゃるのでしょうか?

社員は約120名。私は全社横断人事として、採用や異動、組織開発など人事全般を管掌しています。

━━1on1を導入したのはいつ頃ですか?

全社的な1on1の導入に着手したのは2018年の夏から、運用を開始したのは秋頃からですね。

━━全社で導入される前には、どのような課題感があったのでしょうか?

一番大きかったのは離職率が高かったことですね。要因をブレークダウンしていったときに出てきたことが3つあります。1つ目が、日常的に話す場はあるものの、マネージャーとメンバーの間に根本的な信頼関係や心理的安全性がほとんど築かれていなかったこと。2つ目が、個人に対する足元の業務に関する成長支援の場の不足。3つ目が、目の前の業務に直結しない中長期のキャリアについて相談できる場や支援の不足。そういう状況だったので、細かいところではメンバーがマネージャーに悩みや課題を相談しても解決されておらず、不信感につながっていたこともありました。これらを解消するための手段として、1on1の導入を検討するようになりました。

対話の場を設けることに意味がある

━━運用開始までの準備期間には、どのようなステップを踏まれたのですか?

最初はとにかく手探りでしたが、まずは離職率が高い現状について、経営陣と課題に対する認識をすり合わせていきました。経営陣の次に事業責任者、その次に現場のマネージャーという流れで段階的にミーティングを設定し、それぞれに対して私が直接話していきました。そもそもの課題感や1on1を導入する目的について、ひとつひとつのミーティングで同じことを伝えたり、各現場の課題感を聞き出したりしていきましたね。

━━事業責任者だけでなく現場のマネージャーに対しても、金子さんが直接説明したんですか?

そうですね。もちろん各事業責任者のことは信頼しているのですが、結局、人事とマネージャーの距離が開けば開くほど、現場の課題感をリアルに把握しづらくなると思うんです。「人事がやれって言ってるよ」みたいに、現場に寄り添えていない施策を人事主導で回している状況が一番嫌だなと。1on1はマネージャーにとってもやるメリットがある施策なので、そこはしっかり伝えたいと思っていました。

━━様々な考え方のマネージャーやメンバーがいる中で、1on1を浸透させていくために意識したことはありますか?

最初は「とりあえず対話の場を設けることに意味がある」というスタンスで、完璧を求めすぎないことを心がけていました。また、中長期的に普及させていく上では、根底にある価値観を絶えず全社に伝え続けたことも重要だったと思います。もともと、社長の伊藤が「マネージャーとメンバーの信頼関係が事業の土台であって、その手段として1on1のカルチャーを大切にしたい」というメッセージを様々な場で発信してくれていたんですよ。なので人事としても、入社前のあらゆる選考フェーズや、入社した後の研修の中で必ず話しています。しつこいくらい、何度も何度も(笑)。そのおかげもあってか、1on1導入時も社内の摩擦が少なかったように感じます。

階層別に人事が直接話し、全社のログに必ず目を通す

━━1on1ミーティングを導入するにあたっての課題はありましたか?

ログを残すような文化がなかったので、そもそも誰と誰が、どのような内容で1on1を実施しているのかがほとんど把握できない状態でした。1on1がうまくいっていなくても気が付くことができなかったのです。

つまり、良い状態にしろ悪い状態にしろ、1on1の実施状況もメンバーのコンディションもほとんどわからなかったんです。すでに活躍していて物足りなさを感じている人がいるかもしれないし、あるいはなかなか活躍できずに悩んでいる人がいるかもしれない。それぞれの変化を察知できないので、問題が発生する度に不意打ちで事後対応しなければならなかったんですよね。今から思えばその悪循環が、結果として離職率の高さにつながっていたんだと思います。

━━全社的な1on1実施に伴い、TeamUpを導入していただいたことで感じられた変化はありますか?

TeamUpを利用することで、提出されたログが残ることが大きな変化です。

個人的な話ではありますが、提出される1on1ログすべてに目を通しています。数でいうと、毎日10本は読んでいますね。相当な数になってくるので、確認時間は1本1分以内。基本的に、実務に関する内容は事業部のマネージャーやその上の事業責任者に任せています。人事としては、そもそも1on1を実施できているかという確認と、体調面やキャリアに関する悩みなど、ネガティブな変化には特にアンテナを張っています。会社の過去の状況から考えてみると、困っていることやキャリアに関する悩みって、マネージャーに100%は相談できていなかったり、あるいはマネージャーが受け止めている温度感よりもじつは深刻だったりといった可能性もある。なので、このようにログが提出され、人事がそれをチェックできる仕組みを作ったことで、マネージャーがサポートしきれていないときに、人事がすぐにヘルプにいける状態にすることができました。

━━ツールの活用方法として、1on1ログを見て、人事がフォローに入った方がいいと判断したとき、具体的にはどのようなアクションをとられているのですか?

各1on1ログのコメント欄で、実際に1on1を行っているマネージャーと事業責任者、人事がやりとりをしているんです。必要に応じて事業責任者や人事から、「大丈夫そうですか?」「よかったら自分から話しましょうか?」とコメントをして、実際に場を設定するアクションまでつなげることもあります。1on1を人事のパトロールツールという位置付けにするのではなく、あくまで事業部のマネージャーが健全なマネジメントをするためのツールとして使ってもらいたいんです

━━なるほど。1on1が現場に浸透して効果を発揮していくかどうかは、人事と現場のマネージャーとの距離感が鍵になってきそうですね。

1on1ログを提出することに対する、マネージャーの心理的安全性を上げていくことはとても重要ですね。実際、導入初期はあまり積極的に1on1ログを提出してくれないマネージャーもいました。そういった場合には人事の方から距離を詰めて、マネージャーをサポートするのが人事の役割だということを示すよう心がけていました。「あなたの無理のない範囲でやってくれると嬉しい」という伝え方をしたり、提出してくれたときには感謝を述べたり、地道なコミュニケーションの積み重ねを大切にしていきました。結局、浸透していけばみんなが楽になるので。今ではとても良い関係性が築けていると思っていて、メンバーに関して気になることや不安なことがあったときには、マネージャーからすぐ私にチャットをくれるんです。人事とマネージャーの信頼関係があるおかげで、「相談したけど解決されない」という事態を減らすことにもつながったと思います。

1on1ログから課題を拾い上げ、施策へつなげる

━━全社的な1on1実施に伴い、TeamUpを導入していただいたことで感じられた変化はありますか?

ツールを導入する以前は、人事が各現場の1on1の実施状況を把握する手段がありませんでした。1on1のログがないということはつまり、良い状態にしろ悪い状態にしろ、1on1の実施状況もメンバーのコンディションもほとんどわからなかったんです。すでに活躍していて物足りなさを感じている人がいるかもしれないし、あるいはなかなか活躍できずに悩んでいる人がいるかもしれない。それぞれの変化を察知できないので、問題が発生する度に不意打ちで事後対応しなければならなかったんですよね。今から思えばその悪循環が、結果として離職率の高さにつながっていたんだと思います。

━━1on1の運用を開始してから、人材施策へはどのように結びついていきましたか?

1on1ログから拾い上げた課題をベースとして活躍支援や悩んでいるメンバーの支援に取り組んだことで、結果として離職率が20%以上も減少したんです。個人のキャリア形成や、もっと手前の働きづらさなどの問題に対する解像度もぐっと上がったと思います。とはいえ、正直導入時はここまで1on1があらゆる施策の要になるとは予想していませんでした。1件1件の1on1のケースの積み重ねがあってこその結果ですね。

━━1on1が事業に対して与えた影響については、どのように感じられていますか?

コミュニケーションの効率が上がることで、全体の事業運営スピードも確実に上がっていると思います。1on1ログがあることで事業責任者やマネージャーと同じ文字情報を見られるので、現場の課題に対する認識齟齬が起きにくくなりましたね。

フルリモート移行後も、1on1ログでメンバーの状態を把握

執行役員 人事部長 金子歩美様

━━スローガン様もリモート勤務体制に切り替わったのですよね。人事の立場で感じられた変化はありますか?

たしかに、フルリモート化によって、人事が直接メンバーの顔色や雰囲気を見る機会はなくなってしまいましたね。しかし、各マネージャーが必ず週次で1on1を実施してくれているので、そのログが提出されているということが安心材料となっていますね。オフライン時期よりも1on1がより重要になったという認識はしていて、特にメンバー本人から提出される事前トピックについて、以前より活用を強化しています。メンバーが書いた文面を注意深く見ることで、体調や気持ちの変化を知ることができます。

━━最後に、現在取り組まれている施策や、今後の人材戦略の展望について教えていただけますか?

最近、全社に対して週次で心身の健康状態やリモートワークの環境について質問するアンケートをとり始めたのですが、その結果と1on1ログを組み合わせてメンバーの状態を把握しています。たとえば、お子さんがいる方在宅勤務が大変そうだという回答をアンケートで見つけたら、具体的に何が大変なのか、負担が大きいポイントは何なのかといった詳細を1on1ログで確認するという流れで活用しています。こういったログをもとに、リモートワークに関する全社研修を実施したり、実際に新型コロナウイルスの影響に伴う休業補償手当を整えたりと、すべての施策が1on1起点で回っているという状態です。すでにマネージャーとの信頼関係が築けていて、1on1ログが存在しているので、ありがたいことにフルリモートになっても何も変わらず人事業務を進められていますね。これまで通り、すべてのメンバーの活躍は、常にメンバーとマネージャーの信頼関係がベースになっていると考えています。今後も引き続き、1on1をあらゆる人材施策の中心に据えて運営していきたいですね。

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